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太田 雅和; 小嵐 淳
Science of the Total Environment, 816, p.151587_1 - 151587_21, 2022/04
被引用回数:7 パーセンタイル:68.71(Environmental Sciences)福島第一原子力発電所事故の影響を受けた森林では、沈着したCsによる樹木汚染が問題となっている。しかしながら、森林内の各Cs移行過程が樹木(特に、福島の林業で重要な資源である幹木部)の汚染に及ぼす影響については、十分な理解が得られていない。本研究では、森林樹木-リター層-土壌系におけるCsの動態を計算するモデルを提案し、これを福島県内のスギ植林地および天然のブナ林に適用した。モデル計算の結果および計算と現地観測の結果の比較から、森林内の各Cs移行過程が樹木の汚染に及ぼす影響が明示された。森林に沈着したCsの樹木への移行においては、事故時に葉あるいは樹皮に補足されたCsの表面からの取り込みがそのほとんど(99%)を占めることが示された。一方で、根による土壌中Csの取り込みは少なく、事故後の50年間にわたり、表面からの取り込みよりも数桁小さい値を保つことが示された。これらの結果、樹木の内部汚染が、事故直後に樹木表面から取り込まれたCsの内部再循環(転流)によって引き起こされることが分かった。樹皮を介した表面からの取り込みの重要性も明らかとなり、樹木によるCs取り込みの100%(事故時に葉が無かったブナ)あるいは30%(事故時に展葉していたスギ、残りの70%は葉の表面からの取り込み)を占めた。試験地の樹木について、2021年現在では、Csの放射壊変と樹木成長に起因する希釈効果の影響によって樹幹木部のCs放射能濃度が年あたり3%で低下していることが示された。
太田 雅和; Kwamena, N.-O. A.*; Mihok, S.*; Korolevych, V.*
Journal of Environmental Radioactivity, 178-179, p.212 - 231, 2017/11
被引用回数:14 パーセンタイル:43.57(Environmental Sciences)環境中トリチウム移行モデルは有機結合型トリチウム(OBT)が組織自由水中トリチウム(TFWT)から直接形成されると仮定している。一方、植生中OBT/TFWT比は一定でないことが観測されている。本研究では2つのトリチウム移行モデル(CTEM-CLASS-TT及びSOLVEG-II)の計算値及びトリチウム放出施設近傍での野外実験の観測値の比較を行った。野外実験では3つの異なる灌漑(灌漑なし、低トリチウム水による灌漑及び高トリチウム水による灌漑)が施され、得られたトリチウム移行の差異は土壌から葉へのトリチウム輸送が葉内OBT/TFWT比に及ぼす影響に関する知見を与えるものであった。灌漑なし及び低トリチウム水による灌漑では、葉のTFWT及びOBT濃度の計算値は施設起因のトリチウムプルームの通過に対応した経時変化を示した。高トリチウム水による灌漑下では、土壌中の高濃度トリチウムの影響により、葉のTFWT濃度が高く維持され、OBT濃度はこのTFWT濃度と平衡となり、プルームの通過に関係なく高い値が保たれた。以上より、土壌中トリチウム濃度が高い状況では、土壌から葉へのトリチウム輸送の効果により、大気中トリチウム濃度に関係なく葉のOBT/TFWT比が決まることが明らかとなった。このことはトリチウムの経口摂取による被ばくを正確に評価するためには、トリチウム移行モデルは土壌から葉へのトリチウム輸送を厳密に考慮する必要があることを示している。
廣木 成治; 阿部 哲也; 丹澤 貞光; 中村 順一*; 大林 哲郎*
JAERI-Tech 2002-056, 11 Pages, 2002/07
ITER粗引システム設計の妥当性を評価するため、2段ルーツ真空ポンプシステムの軽元素ガス(軽水素H,重水素D,ヘリウムHe)及び窒素ガスNに対する排気特性(排気速度及び圧縮比)の試験をITER R&Dタスクとして実施した。試験では、エドワーズ社ルーツ真空ポンプEH1200(1台,公称排気速度1200m/s)と同EH250(2台,同250m/s)及びロータリーポンプ(1台,同100m/s)を直列に接続し、ヨーロッパ真空規格に準拠して実験を行った。そして、2段ルーツ真空ポンプシステムのD及びNに対する最大排気速度はそれぞれ、1200と1300m/hであり、公称排気速度を満たすことを確認した。本試験結果は、2段ルーツ真空ポンプシステムからなるITER粗引システム設計の妥当性を裏付けるものである。
Bughio, N.*; 中西 啓仁*; 清宮 正一郎*; 松橋 信平; 石岡 典子; 渡辺 智; 内田 博*; 辻 淳憲*; 長 明彦; 久米 民和; et al.
Planta, 213(5), p.708 - 715, 2001/09
被引用回数:16 パーセンタイル:36.85(Plant Sciences)オオムギが土壌中の鉄を獲得するために分泌するムギネ酸の前駆体であるメチオニンが、植物体のどこに起源をもつかを明らかにするために、リアルタイムでの[C]メチオニン転流をポジトロンイメージング法を中心とした計測により行なった。外部から供給した[C]メチオニンが鉄欠乏オオムギの根に保持され、ムギネ酸生合成に使われたこと、地上部から根へのメチオニンの移行が見られなかったことなどから、ムギネ酸の前駆体であるメチオニンは植物体の根に起源をもつと結論した。
古川 純*; 中西 友子*; 松林 政仁
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 424(1), p.116 - 121, 1999/00
被引用回数:19 パーセンタイル:77.26(Instruments & Instrumentation)根の吸水活動が土壌中に存在するヴァナジウムにより如何に抑制されるかを報告した。ヴァナジウムを添加した吸水性ポリマーを入れたアルミニウム製容器中で大豆を成長させ、熱中性子ラジオグラフィのフィルム法で撮影した。現像後、フィルム上の画像をスキャナーでコンピュータに読み込み、画像解析により主根及び側根周りの吸水方法について調べた。その結果、根の生育の形態変化に関してヴァナジウム添加による影響は認められなかったものの、根から1mm以内の根に沿った土壌中の水分量が2日目以降変動しなくなり、根の活動低下に影響していることが示された。根の周りの水の動きの微視的研究はこれまであまり行われておらず、本結果は根の吸水モデル構築に有用であると期待できる。
渡邉 憲夫
第35回原子動力研究会年会報告書, p.42 - 49, 1998/00
国際原子力機関(IAEA)では、原子力発電所における事故の発生防止を目的とし、ASSET(Analysis and Screening of Safety Events Team)による事例分析を通して教訓の導出並びに改善策の勧告等を行っている。ASSETによる基本的な活動は、事象報告書等の文書情報やプラント設置者との質疑応答に基づく広範な事例のレビューと重要事例の分析であり、これは、根本原因分析方法(ASSET手法)に従って行われる。ASSET手法は、各事例に対して、安全上重要な機器故障や運転員エラー等の不具合を同定し、その直接的な原因や、背後にある根本原因を明かにして、改善策の提案・勧告を行うというものである。本報告では、ASSET活動の概要と現状、及び、そこで用いられている事例分析方法(根本原因分析手法:ASSET手法と呼ぶ)の具体的な手順について紹介する。また、「もんじゅ事例」への適用を通して、ASSET手法における問題点や改良すべき点等についても言及する。
樋口 利彦*; 葉田 可林; 天正 清
Soil Science and Plant Nutrition, 30(2), p.125 - 136, 1984/00
被引用回数:35 パーセンタイル:84.15(Plant Sciences)水稲根により吸収された炭酸の多くは地上部へ移動し固定され、一部は葉鞘より大気へ排出される。COの水稲体地上部への移動および大気への排出過程のメカニズムを明らかにする目的で前報に引続きトレーサー実験によって検討を加えた。水稲は小麦と異なり、COをより早く経根的に吸収し、主として葉鞘部で同化固定する。呼吸阻害剤2、4-DNP、NaNの処理では、水稲、小麦共に地上部へのCO移行に影響はなかった。水分吸収抑制剤マンニトールは、水稲には影響はなかったが、小麦には顕著な影響が認められた。水稲と小麦の根中ガス容積を調べた結果、水稲は小麦の10~15倍を示し、CO経根吸収における水稲の特異性は、よく発達した通気組織系に原因があると推察した。なおCOの排出部位は主として葉鞘部の気孔と考えられるが、葉鞘部内表皮からもありうることを示唆した。
石黒 美佐子
情報処理, 13(3), p.179 - 181, 1972/03
文献では,高次代数方程式の多重視を求める場合の難点と,それを解決する方法を記し,サブルーチンMROOTを与えている.ここでは,サブルーチンの使い方FORTRAN(F230-60)によるコーディングについて記す.
石黒 美佐子
Inform. Process. Japan, 12, p.46 - 50, 1972/00
重根を持つ代数方程式の根を正確に求めるための方法について述べる。多項式をHERMITEの方法により多重度により因数分離し、重根を持たない方程式に対して従来の方法を適用すれば問題は解決できる。計算結果を比較すると、多重根を持つ方程式に対しては、この方法が有効であることがたしかめられる。
石黒 美佐子
JAERI-M 4465, 20 Pages, 1971/06
実数を係数とする高次代数方程式のすべての根(虚根を含む)を求める問題を取り上げる。まず第一に重根を持つ代数方程式の根を正確に求めるための方法について述べる。方程式を前もって多重度により因数分離し、重根を持たない方程式に対して、BAIRSTOW法等を適用することにより問題を解決する。そのためにサブルーチンMROOTを作成する。次にFACOM230-60の科学計算用サブルーチン・ライブラリ(SSL)のBAIRSTOW法によるサブルーチンBAIR1Sの難点をあげる。そして改良したサブルーチンROOTPを作成する。ROOTPを核にして、MROOTを適用したときの計算結果等を合わせて論じる。